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高校時代のある年の楽器フェアに友人と出かけ、面白いドラムを初めて見ました。それは俗にいう「エレドラ」という奴で、シンセサイザーに入っている音源を、ドラムの打面を模した「パッド」を叩く事により演奏するもの。当時はイギリスのSimmons(シモンズ)というメーカーのエレドラが有名だったのですが、そのブースはYAMAHA(ヤマハ)で、説明によるとまだ試作品だという事でした。
今にして考えると、デモ演奏をしていたドラマーは、チックコリアバンドなどで有名な、かのDAVE WECKL(デイブ・ウェックル)さんで、今でもその刺激的な演奏が心に残っています。私は彼の演奏とエレドラに夢中で、一緒に来ていたキーボーディストの友人は、そのエレドラの「音源とシステム」に夢中になっていました。 「これがあったら、一日中音を気にせずに練習する事が出来るぞ。」 ドラムはエレキギターやベースなどの他のポピュラー楽器と異なり、生楽器なので「練習」が「騒音」です。ドラムをやる上で一番難しい事は間違いなく練習場所の確保でしょう。多くのドラマーの一番の悩みなのです。 エレドラはヘッドホンをすれば、外に音が聞こえずにプレイする事が出来ます。セットはおろか、スネアドラムすら所持していなかった当時、私はその夢のような楽器が欲しくて欲しくてたまりませんでした。 その楽器フェアを前後して、日本メーカーから次々とエレドラがリリースされました。TAMA(タマ)からは日本初のエレドラ【THECHSTAR】の新型が、Pearl(パール)からは【Drum-X】続けて【Syncussion-X】というシリーズが発売され、シンセを出していたRoland(ローランド)やCASIO(カシオ)なども参戦し、しばらくの間、楽器メーカー各社は最初のエレドラ全盛期を迎える事になります。
考えられる理由としては、本物のドラムセットとは「演奏感覚」がかなり違うという事。(最近ではゴム製のパッドに代わり、より本物の感覚に近いメッシュ製パッドを使用したモデルも出てきました)また、エレドラは音源を使用するので、ある程度MIDIやシンセの知識が無いと、演奏家の個性のある「音」を出す事はなかなか難しいという事。それからドラムセットが「コンパクト」なおかげで、ライブでの「見た目の迫力に欠ける」事も大きな理由でしょうね。 でも演奏感が違おうが、私にとって「おウチで練習が出来る夢の楽器」は健在で、一軒家に住む友人のドラマーがローランドのエレドラを購入したのを羨ましく思い、用事もないのに何度も遊びにいき(笑)、何年もの間、新製品が出るたびに楽器屋さんに足を運んでは試奏し、プライスタグを見てあきらめながらも「いつかやってやるぞ!」とその度に元気をもらう日々でした。 Commerzに参加してすぐ、私はヤマハのサイレントセッションドラム(ver2.0)を購入しました。久しぶりにバンドをやる機会を得たので、なまっていた感覚を取り戻す事と、今までよりも、しっかりリハーサルに望む準備(個人練習)をしたかったというのが主な理由でした。早いもので、あの思い出の楽器フェアから15年が経とうとしていました。当時から比較してエレドラは安価にはなりましたが、それでも25万円の高額な買い物(Macを除けば史上最高額のオモチャ)ですから、エレドラが家に届いたときは、本当に嬉しくて嬉しくて、難しいマニュアルを読む事は基本的に嫌いなのですが、一生懸命読んで音が出るようにし、それからというもの毎日楽しくプレイしていました。 しかしある日の事、マンションの1F、エレベータの向かいにあるマンションの掲示板に、ある張り紙が・・・ 「最近マンション内で楽器を演奏されている方がいらっしゃるようです・・・(略)」
てな感じで、実際にしっかりプレイ出来たのは、ほんの2〜3週間程度で、その後は「知り合いの結婚式」などで演奏依頼があった時などに活躍する程度で、ほとんど“タンスの肥やし”パーツケースの中で何年も眠る事になってしまったのでした。「そこにドラムがあるのに叩かない(叩けない)」ジレンマ。一軒家に住んでいない自分を呪い、時々「調子が悪くならないか」と心配して、音源ユニットの通電をしたりと「未練タラタラ」な日々だったのです。 ここで突然ですが、高校の頃まで住んでいた家に、家族そろって17年ぶりに帰る事になりました。実はPennyの家族、ある大人の事情があって17年前に家を出て、それ以来マンション住まいになっていたのですが、またある大人の事情で(笑)帰れる事になったんですよ。 ぶっちゃけ経緯も理由もどうでもよくて、私の気になる部分はただ一つ、 帰れるとなればそこは「一軒家」だと言う事実。すなわち・・・ こういうことです(笑) |
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