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まあ10代の後半、まだ自分の楽器を何一つ持っていなかった当時は、そんな事これっぽっちも考えていませんでしたがね。 それまでは「シンバルもスタジオによって感じが違うなあ」程度にしか考えていなかったのですが、当時参加していたハードロックバンドのリハーサルで、たまたま普段行かなかった「五反田ペンタ」というスタジオのドラムセットで演奏した瞬間に、ハンマーで頭を殴られたような衝撃が、私の五感に走りました。 「このライドシンバル、レコードみたいな音が出る!!」 その時、その古ぼけた(シンバルのメーカー名の印刷すら消えてしまっているような)ライドシンバル(大きいシンバルです)が、信じられないようなサウンドで私に語りかけてきました。私はメンバーに思わず叫びました。 「これが欲しい、俺これ買いますよ!!」 スタジオ内は「爆笑」の渦です。同時にメンバーはかなり驚いたようでした。私のこの発言の衝撃が皆さんにお分かりいただけるか不明ですが、それまで3〜4年ほどドラムを演奏してきて、「別にスタジオにあるんだから・・・」と自分の楽器を一度も買おうと思った事のなかった人間に、一瞬にして「これが欲しい」と言わせたのです。 「Pennyちゃん、そろそろ自分の楽器買おうよ、ね。」 |
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602がそのスタジオにあった事実は未だ謎です。普段リハーサルスタジオにあるドラムセットは、様々な人が使う事を考え、低コストと耐久性が最も求められます。スタジオのオーナーがドラマーだったり「ドラム好き」の人であれば別ですが、普通高級シンバルなどそこにあるはずがなく(人に貸すはずがなく)、たまたまだったのだと思いますが、私にとっては非常に有意義な経験でした。 「Pennyちゃん、あのシンバル欲しいの? 高いよ。」 リハーサルの帰りに車の中で、くわえ煙草のS氏はそう私に言い、意味ありげにニヤリと笑ったのでした。 「なんの!アルバイトでも何でもして買ってやる!」 |
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高校を卒業したばかりの、アルバイトもしていなかった浪人生(何故かバンド活動をしていましたが…)にその金額はなかなか出せず、また、いざ買うにしても中古楽器で、今のようにインターネットも無い時代に、知っている楽器屋も2〜3件程度では、なかなか探せないものです。結局その時は残念ながら購入を断念したのです。 時は流れ、バンド活動もその当時から10年以上経過し、いろいろな事があり、シンバルも既に別のモデルを新品で揃えていて、でもやっぱり602のサウンドが心の片隅にはしっかり残っていて… 話せば長くなるので詳細は省きますが、まあ最終的に状態のいいのを見つけて買いました(笑) |
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パイステからこの頃出た受注生産の“トラディショナル・シリーズ”という・・・新品で1枚80,000円とかする・・・超高級シリーズが602の音に似ているとか、似ていないとか言われていますが(試奏できるショップは私の知る限り無いのです)今でもこれだけ人気の高いフォーミュラ602が、廃盤になってしまったいきさつを私は知りません。このシンバルの合金を作る時に「有害物質が出てしまう」という理由で廃盤になっただとか、その合金の配合が他のメーカーの特許に抵触したなどの、まことしやかな噂を耳にする事もありますが、事実は未だ闇の中。知っている方がいらっしゃったら、是非私にご一報ください。
うなちゃん さん大変貴重な情報をありがとうございます。 Paiste ホームページはこちら http://www.paiste.com/ |
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