このように、一見いい加減に造られているような印象を持つこのドラムから、何故これほどの「極上のサウンド」が出るのか本当に不思議です。
最近ちょっと驚いた事(2006年3月更新)
上記で紹介した状態とは違っていて、現行のラディックメタルシェル内部パーツは、ちょっとやそっとじゃ緩みそうのない(笑)、むしろ国産各社のモデルよりもクオリティの高そうなパーツにアップグレードされています。チューニングボルトもチューブラグの部分に緩みどめが付いていたり、私が指摘していた「チープな部分」が、かなりの部分に渡って払拭されていました。きっとユーザーから文句が出たんでしょうね(笑)。まあ10年経ってますからね、「仕様は予告なく変更され・・」は当然でしょう。正直今買う人は羨ましいです。 |
ドラムのシェルの役割はいくつかありますが、その一つにヘッドを支持する(支える)役割というものがあります。シェルのボディに取り付けてある、ボルトの穴を切った「ラグ」というパーツに、上下のフープをボルトで締めて、ヘッドを「張る」のがドラムです。ラグは宙に浮いているわけではなく、フリーフローティングというタイプを除けば、だいたいがシェルに直に取り付けられているので、小さければ小さいほど、また少なければ少ないほど、シェルに接触している面積も少なくなり、結果としてシェルの「鳴り」を邪魔しなくなるようです。ラグの数はそのドラムの設計思想である「テンション数」によって変化します。一般的にスネアドラムでは、8テンション(片面を8つのボルトで締める)なら(パーツが少ないから)より「シェルが鳴る」オープンなサウンドを狙った設計、10テンション(片面を10のボルトで締める)なら(張りの力が分散されるので)より「正確なチューニング」をおこなう事を意識した設計といえます。
マメ知識
実際のラグの数は、10テンションなら10個、もしくは上下あわせて20個になります。木胴でも浅胴4インチ以下のスネア、あるいはほとんどの金属胴スネアの場合は上下を共有するので10個。木胴5インチ以上になると、多くの場合上下は独立しているので20個は必要になります。(以下の写真を参照)
右側のスネアはラグの数が上下20個になりますが、ラグが小振りで、フリーなシェルの面積を増やす設計になっています。メーカーによっては深胴でも思いきり大きなラグが、上から下まで柱のようにシェルに張り付いているものもあります。そういうタイプのドラムはシェルの「鳴り」を多少損ねてしまいますが、大きなラグが付く分だけ、強くしっかりとしたシェルが出来上がります。これもメーカーの考え方の違いや、設計思想によって決まるようです。要するに「シェルを鳴らす為の設計」なのか、「強くシェルがしっかりとヘッドを支える為の設計」なのか・・・という事ですね。
このラディックLB400BTの偉いところは、10テンションでありながらも「シェルの鳴り」を追求した設計がなされているところです。それはラグの「形」とその「機能」。
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チューブラグ仕様
ラグを止めているボルト部分をのぞけば、シェルにパーツが触れていないのでよく鳴る。 |
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通常仕様
裏から見るとネジ位置は同じだが、ラグのパーツ全体がシェルに接触している。 |
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私のLB400BT(Tが重要なんです)は「チューブラグ」と呼ばれるちょっと特殊なラグを使用しています。左をご覧ください。写真下のラディックの通常仕様のラグはべたっとシェルに張り付いたようなデザイン。一方写真上のチューブラグは、取り付けネジ部分以外が「浮いて」いるような状態になっています。これによってシェルの鳴りを殺さず、テンション数も稼ぎ、より正確なチューニングも可能にしているのです。これはこのスネアの大きな特長であり、チューブラグは上品でルックスも最高(ていうか好き!)もちろんサウンドにも好結果をもたらしています。 |
現在、ある知り合いのドラマーから、同じモデルの「通常ラグ」仕様LB400B(写真右)を借りています。「調子を見てあげるよ」などと言いつつ、本当は比較したかったので借りました(笑)チューニングして、同じピッチに合わせましたが、同じラディックとしての傾向はあるものの、ビックリするくらい、かなり音色が異なり、ラグの形状はかなり音に影響を与えているのだと知りました。どっちが好きかと言われたらチューブラグが最高!と答えます。確かチューブラグ仕様は数千円高いはずですが、絶対に損はしません!ご購入の際は是非ご検討を。
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